- 相手の考え方が理解できず「非論理的」と感じることがある
- 複雑な問題をどう整理し解決すればいいかわからない
- 自分の主張がなぜか相手に伝わらないと感じる
こんな悩みはありませんか?
本書『論理的思考とは何か』は、「論理的思考」とは何かを根本から考え直す一冊です。
論理的思考というと「万人共通の普遍的なスキル」と思いがちですが、実は文化や価値観によってその形が異なります。
本書では、異なる文化や目的に応じた思考法を学び、不確実な世界を生き抜くヒントが詰まっています。
『論理的思考とは何か』の概要
タイトル | 論理的思考とは何か |
著者 | 渡邉 雅子 |
ページ数 | 208ページ |
出版社 | 岩波書店 |
発売日 | 2024年10月21日 |
著者について
著者の渡邉雅子氏は、論理学や哲学の研究者として幅広い実績を持つ学者です。
特に、西洋と東洋の論理の違いや文化的背景に基づく思考法の違いを専門的に研究し、教育現場でも論理的思考の指導に携わっています。
本書では、その豊富な知見をもとに、複雑なテーマをわかりやすく解説しています。
『論理的思考とは何か』の要約
論理的思考はひとつではない
論理的思考とは「論理学だけ」を指すものではありません。
本書では、西洋における4つの主要な思考法を紹介しています。
- 論理学の論理:厳密な形式や手順に基づき結論を導き出す。
- レトリックの論理:説得力や感情を使って相手に影響を与える。
- 科学的発見の論理:観察と実験から仮説を立て、検証を繰り返す。
- 哲学的探究の論理:問いを立て、答えを模索し続ける。
これらはそれぞれ目的が異なるため、適切な状況で使い分ける必要があります。
論理と文化の関係
論理的思考の背景には、文化や価値観が大きく影響しています。
本書では、以下のような領域別の論理を紹介しています。
- 経済の論理:効率性と結果を重視する(例:アメリカのエッセイ)。
- 政治の論理:公共の福祉や矛盾の解決を目指す(例:フランスのディセルタシオン)。
- 法技術の論理:真理の保持が目的(例:イランのエンシャー)。
- 社会の論理:共感を重視する(例:日本の感想文)。
これらの違いを理解することで、他者の思考を「非論理的」と判断することを避けられます。
多元的思考の重要性
本書の最終章では、多元的思考の重要性が説かれています。
一つの論理に囚われるのではなく、状況や目的に応じて異なる思考法を選ぶことで、豊かな議論と人生が可能になります。
『論理的思考とは何か』の感想・書評
本書を読んで特に印象的だったのは、「論理的思考は目的に応じて使い分けるべき」という考え方です。
多くのビジネス書が「一つの方法論」を推奨する中、本書は「多様性」を重視している点がユニークです。
たとえば、日本的な「共感を重視する論理」がグローバルな場で誤解される一方で、独自の強みを持つことを再確認できました。
また、本書はビジネスだけでなく、教育や日常生活における思考法にも応用できます。
異なる文化背景を持つ人々と協力する場面で特に役立つでしょう。
『論理的思考とは何か』はこんな人におすすめ
- 異文化コミュニケーションに関心がある人
- 論理的思考を深めたいビジネスパーソン
- 教育や研究の分野で論理を指導する立場の人
- 世界の多様な思考法を学びたい人